訪問看護にできること
病気をできるだけ治す、癌があれば取り除くか小さくする、病気による症状を薬で和らげる、検査値を正常値に近づける、骨が折れれば手術をしてくっつける。これらは全て医師の仕事であり、病院はこれらの治療を行うところです。
命を救い、一秒でも長く命をつなぐのが病院の使命です。この目的を果たすためには患者さんは病院の指示に従う必要があり、看護師は医師の指示に従い患者さんを看護します。治療を適切に行い、命を救うためには食事、活動、面会などを制限せざるを得ないこともあります。
一方、訪問看護の目的は病気の治療ではなく、あなたの生活を支えること。歳を重ねたことや病気によってこれまで通りの生活を送るのが困難になったとき、病院での治療を家で継続して行いたいとき、いくらかの援助があれば家での生活を続けられる、そういう方を訪問看護は支えます。
また、いつか訪れる最期の時、それはどのように進んだ医療をもってしても避けることはできないのですが、その時を病院という治療、延命を目的とする場所で迎えるのではなく、自分の家で、家族とともに、あるいは一人であっても、自分の望む形で過ごし旅立ちたい。訪問看護はそのような方のの力になることを使命としています。
何をいつどのようにするのかを決めるのは医師でも看護師でもなくあなた自身です。看護師はあなたの健康の維持、増進のための提案はしますが、それを受け入れるかどうか選択するのはあなたです。誰にも指示されない、自由な意思を制限されない。自分の住み慣れた環境で、自分のしたい事をしたい時にしたいようにする。在宅では常にあなたが主役です。
あなた主体の生活が続けられるように援助を提供することが訪問看護の役割です。
“然”という字は単独で“しかり、さり”と読み、“その通りである、同様だ”の意味を表します。また“然”は上にくる語を修飾して“その通り、それらしい”の意味を付け加えます。歴然、公然、断然、紳士然などです。つまり“然”は単独では意味をなさず、上にくる語の意味を肯定するために使われます。
訪問看護ステーション「然」はあなたのありのままを受け入れ肯定し、あなたらしい生活を最期の時まで自分の家で続けることを支えていきたいと考え、この字をステーションの名前としました。